印章師法案(全連案)

目次へ戻る

<前のページ次のページ>

印章師法案(全連案)

第一条 法律の目的
この法案は印章を規制し、これが適正を図り印章による犯罪を防止することを目的とする。
第二条 定義
(1)この法律で印章とは官公印及びこれに準ずる公印、人にあっては事故を証明するに要する印、法人若しくは団体にありてはその法人または団体たるを証する印、及男sの役職員が自分を証するに用する印をいう。
(2)この法律で「印章師」とは印章の彫刻をなす者をいう。
(3)この法律で「印章店」とは印章師が印の彫刻販売を行う場所をいう。
第三条 「免許」
印章師になろうとする者は命令の定めるところにより手数料を納めて都道府県知事の免許を受けなければならない。
(1)印章師の免許は都道府県知事の指定したる技術講習会において印章師に必要な知識技能を修得し且つ三年以上実施修練を経たる後、技術検定に合格したものに下付される。
(2)印章師の免許を受けないものは印章師の名称を用いてはならない。
第四条 印章師の免許は左の各号の一に該当する者にはこれを与えない。
(イ)年齢満二十才未満の者
(ロ)禁治産者準禁治産者
(ハ)精神病者
第五条 都道府県知事は印章師免許を与えるときは印章師名簿に登録し印章師免許証を交付しなければならない。
第六条 印章師の免許を受けたものでなければ印章の彫刻販売をしてはならない。
第七条 「届出」
    印章店を開設しようとするものは別に定める様式により店舗の位置、設備を知事に届けねばならない「以下略」
第八条 「義務」
(1)印鑑簿を備え印章注文者の氏名、印章の引渡したる年月日を記入し ヶ年間保存しなければならない。
(2)犯罪を構成する恐れの印章を彫刻してはならない。
(3)母型による規制印を製造販売してはならない。
第九条 「外交販売」
印章若しくは印章店の従業員が店外においては印章師免許証またはその写しを携行しなければならない。
第十条 「検閲」
知事が必要ありと認めるときは当該係員をして印鑑簿の検問をすることが出来る。「以下略」
昭和二十九年七月六日 全国印連総会(箱根三昧荘)
印章師法案問題が討議され、業者としての資格が得られることには異論がなかったが、記帳の義務及び当局の検閲権でもめ、採決の結果反対多数で否決され、この決定に対し大阪印連は全国印連を脱退し非常事態に至った。
同年十月大阪の吉崎之雄、茨城の小倉答甫、静岡の吉田四郎等は全国印章師総連合会を発足させる。
昭和三十年十一月十日
全国の業者の要求を受け、東西の和解が成立し、新しい全国組織の委員会が設置される。
昭和三十一年五月 「全日本印章業組合連合会生まれる」
名古屋大会で全国各県より一四八名が出席し、全国印連と全師印連が解散し、改めて全日本印章業組合連合会が発足する。
会 長 宮田憲一
副会長 三田秀三郎 吉崎之雄
印章業法案とは、昭和三十一年十一月十九日某代議士の要請により、衆院法制局で立案中の印章法案であった。
第一条 この法律において「印章」とは、公務所若しくは公務員または人、若しくは法人が自己を標識する文字または符号をある物体の上に顕出するために使用する当該文字、または符号を刻した物体をいう。
    この法律において「印章業」とは印章の製造販売をする営業をいう。
第二条 第三条 省略
第四条 印章業者は総理府令の定めるところにより帳簿を備え、その帳簿に次の事項を記載しなければならない。
    「項目省略」
第五条 各知事は印章業の実態調査のため必要があるときは「中略」帳簿その他業務に関係ある物体を検査することができる。
「以下略」
昭和三十三年 全日本印章組合連合会総会(熱海市)で、再び印章法案請願の機運が高まり、総会で推進の決議が行われる。
昭和三十四年 各県の組合の請願書を一括して押答代議士を尋ね提出を依頼する。
       法案は二十五名以上の商会議員の協力を得られれば議員立法として叶である。山梨県は反対する。同年五月東京の組合で総会が開かれ、再度印章法案を請願することの説明が行われたのち賛否の採択が行われた。その結果反対八十九票、賛成二十四票、白票五票で、東京の反対により否決される。
       法制定は国民の利益と意志が優先されるからであり、個人の見識や一組合の見解等の狭義では成立しないものである。
       山梨の業界も十年間にわたり一本となって反対運動を続け、ここに印法議論は終焉を見たのである。
       しかし今なお平成四年になっても煙をたてている個人もいることを忘れてはならない。

目次へ戻る

<前のページ次のページ>