業界大さわぎ

目次へ戻る

<前のページ次のページ>

業界大さわぎ

昭和二十五年から二十六年にかけて、全日印章連の印章法案の国会への提出運動が全国業者の声により広大していった。その最中に出商販売業者の中に偽水晶印や粗悪品を売るものが現れ、印章業界の信用を大きく失墜させた。これ等を要因として本県印章業者の県外進出を抑圧しようとする目的で印章法案を国会に提出し、その経過を図ろうと猛運動を展開した。
万一同法案が国会で成立すると、本県の印章は全国的に閉め出されることになる。山梨県印章業組合連合会は大いに自粛自戒して不正販売を防止することにより印章法案の立法を阻止すべく県と県議会へ業者登録制の実施を請願したのである。
山梨県議会では、昭和二十六年十月の定例議会へ議員提案により「山梨県印章業保護奨励にかんする条例案」を提出した。
この条例は表面では県内の印章業者の技術及び印章品質の向上と信用の保全をはかり不正販売を防止しようというものであるが、この条例で定めようとする、違反者に対する罰金科料など罰則が、憲法違反の疑いがあると問題になり、結局は継続審議となり日の目を見ることなく終わったのであるが、全日印連の動きはますます盛んなため、県連としては山梨県への働きかけはもとより、本県選出の各代議士などの協力を得て、強硬な反対運動を展開し、後記のように全日印連の事情もあり、印法は実現せずに終わり山梨県の印章業界は助かったのである。
山梨県印章業保護奨励に関する条例案(昭二六・一〇)
(印章法案制定をかわそうとする意図である)
第一条 山梨県下印章業の技術及び印章品質の向上と信用の保持増進とをはかり不正販売を防止するを目的とする。
第二条 印章業を営もうとするものは登録を受け登録証の交付を受けなければならない。
第三条 印章業とは次のものをいう。
(1)印章彫刻業者
(1)ゴム印彫刻並びに鋳造業
(1)印材製造業
(1)印材その他印判用品卸売業
(1)印材その他印判用品小売業
(1)印材その他印判用品通信販売業
(1)印章の外交販売業
(2)印盒製造業
第四条 略
第五条 略
第六条 知事は登録を受けたものが次に該当する時は登録を取り消すことができる。
(1)不正のこういがあり罰金その他のほかの刑に処せられたとき
(2)理由なく登録証の呈示を拒みまたは不正の方法で販売をなした時
第七条 登録証を失い、またはき損した時は十日以内に理由書を添えて知事へ届出し再交付を受けなければならない。これに違反したものは二千円の科料に処する。
第八条 登録を受けないもの、登録を取り消されたものが印章業を営んだ場合は五千円以下の罰金または科料に処する。
天野久知知事談
他府県から国会へ印章法案が提出されたが、これが通過すれば山梨県の印章の外交・通信販売が出来なくなり、本県印章業者へも重大な影響を及ぼすので、県選出の代議士をあげてこの法案の通過を阻止したいと語った。

目次へ戻る

<前のページ次のページ>